ちょっと気になる経理処理

2016.06.01

生前贈与をする前に・・・。

 「毎年110万円までの贈与には贈与税はかかりません」。皆様も様々なメディアを通し、このような情報を耳にしたことがあると思いますし、そこに嘘はありません。
 ただし、相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に持ち戻され、相続税の対象となることはあまり意識されていない方が多いようです。せっかく相続発生前に慌てて贈与を行ったが、直前すぎたためにその大部分が相続財産に持ち戻されたというのはよくあることです。
 生前贈与のすべてが相続財産に持ち戻されるわけではありません。一定の要件を満たして申告を行った場合に受けられる以下の特例における非課税額については、相続税の対象となりません。

①贈与税の配偶者控除
 婚姻期間が20年以上である配偶者に対し、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、2,000万円を上限として非課税となります。

②住宅取得等資金贈与の非課税
 平成31年6月30日までの間に、子や孫に対し、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を贈与した場合、一定の非課税限度額まで非課税となります。

③教育資金贈与の非課税
 平成31年3月31日までの間に、30歳未満の子や孫に教育資金のために金銭を贈与した場合、1,500万円を上限として非課税となります。

④結婚・子育て資金贈与の非課税
 平成31年3月31日までの間に、20歳~49歳の子や孫に結婚・子育ての資金のために金銭を贈与した場合、結婚資金であれば300万円、子育て資金であれば1,000万円を上限として非課税となります。


※①~④については、様々な適用要件や対象者・適用時期の制限などがありますので、詳細は各担当者へお尋ねください。

 また、贈与財産が相続財産に持ち戻されるのは、被相続人(お亡くなりになった方)から相続財産を受け継ぐ方に対して贈与した場合です。したがって、相続財産を受け継がない孫や子の配偶者に対する贈与は相続税の対象とはなりません。特に、直前の贈与であれば、こういった点を踏まえることも重要となります。