役員コラム

2019.10.02

飛行機に乗るのが怖い

㈱あさひ合同会計 副所長 藤原 耕司

 いい大人で、旅行や出張も好きなのに、飛行機にはなるべく乗りたくない。
 小さいころ、御巣鷹山の報道を目にして以来、飛行機は怖いもの。

 旅行好きの祖父母がよく口にしていた「落ちても家族には死亡保険金がおりるんじゃ」という言葉は、安心しろということではなく、危険な乗りものとして、深層心理に影響しているのかもしれない。
 大きくなり、旅行や移動で仕方なく利用し、悪くないかもと感じたこともあったが、日航機事故をベースにしたとされる、故山崎豊子さんの小説「沈まぬ太陽」の圧倒的な描写に触れて以来、昔の感覚が蘇り、常に悶々としている。

 ところが、飛行機に乗り、時々出かけたくなる。その際、心の拠り所は、飛行機の墜落事故の確率は圧倒的に低いという「事実」。統計では1,000万回乗って5回程度、確率は0.00005%。ほっとする。

 フェイクニュースが問題になるこの頃だが、実際にあったニュースでも、良いことよりも悪いことのほうが印象に残りやすく、厄介だ。世の中は悪人が多く、災害や危険なことばかり頻繁に起きているように思える。だから、報じられることは何に基づいているのか、断片的に捉えられていないか、背景や前後の文脈はどうか、良いことはないか、なるべく心がけるようにする。

 日常生活でも「皆が言っている」「~らしい」という言葉をなんとなく聞いてしまうが、皆とは誰か、事実は何か、別の方の感じ方はどうか、整理すると印象が変わることもある。

 つい話がずれたが、それでも旅行に行くのは、国内外を問わず、旅行先の雰囲気、文化や食事など、非日常の世界に浸ることができるという単純な気持ちから。確率という事実は後付けのお守りのようなもの。飛行機怖い病は克服できそうにないが、感情と理屈、どちらも大切にしたいと思いつつ、行けるかどうか分からない旅行の計画を考えては、わくわく、にやにやしている。