役員コラム

2016.06.01

危機意識

㈱あさひ合同会計 取締役 古川 達也

 平成28年熊本地震で被害を受けられた皆様、心よりお見舞い申し上げます。被災された熊本と大分の方々の日常が一日でも早く元通りになりますようお祈りいたします。

 現在、日本列島は地震の活動期に入っているらしいのです。地震学者や地質学者など専門家たちの研究により、巨大地震が発生する確率も公表されています。確率云々の話はピンときませんが、日本列島上では、どこにいようとも地震災害を避けることができませんという話は、その通りだと感じます。阪神大震災では高速道路や鉄筋コンクリートのビルといった近代建築も決して万全ではないことを知り、東日本大震災で津波の恐ろしさを目の当たりにしました。次に発生する可能性が高いのは、南海トラフ地震だと言われています。政府の想定では、最大震度は7、太平洋側での津波の高さは20m超、被害総額220兆円との試算も出ています。被災者数や犠牲者数などは的中しないことを祈るばかりです。震災や津波、火山の噴火などは、現時点で予知や人的被害を回避することができず、熊本地震もいまだに収束の時期すらわかっていません。自然の力に対して人間は無力です。

 岡山市に住んでいる私は、天災に関してこれまで非常に低い危機意識の中で暮らしてきました。近くに噴火しそうな火山はないし、原発も30Km圏内にはありません。家屋が倒壊するほどの大地震の経験もなく、津波は四国が防波堤になるからという手前勝手な理屈で天災リスクを想像したことがありませんでした。これからは、食器や家具等の揺れ対策を考え、津波時の避難経路確認、家族の集合場所や連絡手段、当座の避難生活用物資の備蓄など、「地震が起きる」目線で考えようと思います。震災は、その後の経済活動に多大な影響を与えることがわかっています。過去の経験則から、事業所は営業ができてこそ、その存続が許されるということも十分に理解しています。役員や従業員が被災した時にも通常営業を止めない方策を考慮しなければなりません。何より、万が一の事態が発生した折に、生命を守ることの大切さを啓蒙し続けなければなりません。

 地図では、わかりにくいのですが、地球儀で見ると私たちの日本列島は結構「くの時」に折れ曲がっています。太古は直線列島だったものが、現在の弧状列島に変化したらしいのです。このような形になるまでには、幾度となく大地震や津波の被害があったことでしょう。はるか遠い未来には大地溝帯(フォッサマグナ)や琵琶湖あたりで割れてしまう可能性も否定できません。

 その時代に日本列島上に住んでいる人類は、現在よりはるかに進んだ科学力のおかげで、大きな被害を出さずにすみましたという状態になっていて欲しいと願います。