相続・事業承継あれこれ

2025.11.06

金の仏具は相続税の非課税財産か

金の価格が上がっており、専門店のほか、百貨店などで開催される「黄金展」等で金の仏具を購入される方も増えています。今月は金の仏具に関する相続税の取り扱いを整理します。

1.仏具の取り扱い
相続税には非課税とされる財産がいくつかあり、仏具もその対象に含まれ、原則として相続税はかかりません。仏具には、おりん・花立・香呂・数珠といった種類があります。

2.金の仏具の取り扱い
仏具が金製品であった場合はどのように取り扱われるでしょうか?
国税庁のホーページでは下記のように説明されています(一部抜粋引用、下線は弊社)。

(非課税となる主な財産)
墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物ただし、骨とう的な価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。

金の仏具に関する説明はありませんが、まず気をつけるポイントとして、投資対象となるものかどうかです。
例えば、故人が生前に金や金製品の売買を一定頻度で行っていた場合や、相続人が相続した金の仏具を相続後に売却しているといった場合は非課税とならないでしょう。
また、そもそも仏具が非課税とされる趣旨としては、「日常礼拝の対象」であることから、仏具として普段から使用せず、金庫・倉庫や、一定の場所に大切に保管されている場合も、非課税財産として認められることは難しくなります。
なお、高額な仏具は骨とう品となる可能性はありますが、明確な金額基準はありません。
この点について、「故人や相続人の社会的な地位などによって異なる」といった考え方があり、必ずしも金額だけで判断されるべきではないと思います(私見)。

(その他留意点)
金の仏具の購入価額には、もともとの金の価格に加工費等が加わっています。
相続後すぐにではないにせよ、将来売却する際に、売却価額が購入価額を下回り、相続税の節税にはなったものの、全体で考えると損をしたということもあります。
本来の趣旨に沿い、日常礼拝として使用し、結果として相続税も抑えられたという考え方が大切です。


※内容は執筆時点の法律等に基づき整理しています。制度改正があるほか、内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な取り扱いを記載しております。対策の立案・実行については、専門家にご相談の上進めていただきますようお願い申し上げます。