会社の事業承継にあたり、代表者の退任にあわせ、会社からその代表者に役員退職金を支給し、自社株式を後継者に譲り渡す際の株価のポイントと承継時期を整理します。
- 役員退職金支給による株価への影響と自社株承継時期のポイント
・役員退職金を支給する場合、その支給事業年度の翌事業年度に株価は下がります※
・株価が下がる時期を生かし、後継者へ自社株式を移転します
(参考:3月決算法人の場合)

※留意点(株価に関する主な事前確認)
- 役員退職金等により利益が減る場合、一般的に株価は下がります。
ただし、自社株式の評価は複雑で、利益が減っても株価がそれほど下がらない場合や、赤字が続いている等の場合、株価がかえって高くなることがあります。 - 役員退職金支給にあわせて準備していた会社契約の保険を解約する場合、 費用(損金)と利益(益金)が相殺され、株価が下がりにくいことがあります。
- 自社株承継時期の工夫
自社株を基準となる評価額より低い価額(無償を含む)で譲り渡す場合、譲り受けた後継者は贈与を受けたとして、贈与税の申告が必要となることがあります。
その対策として、贈与税の「贈与額が大きいほど負担が高い累進税率となっていること」、「原則として暦年単位(1月1日~12月31日)で計算すること」という特徴を踏まえ、承継時期を2年に分ける工夫により、贈与税の負担を抑えることができます(下記例)。

(参考:3月決算法人の場合で株式承継を令和8年と令和9年の2回に分けて実行)
内容は執筆時点の法律等に基づき整理しています。制度改正があるほか、内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な取り扱いを記載しております。対策の立案・実行については、専門家にご相談の上進めていただきますようお願い申し上げます。