相続・事業承継あれこれ

2020.05.11

相続税申告期限の延長~新型コロナウィルス感染症対応~

国税庁より、相続税の申告・納付期限の延長に関する取り扱いが公表されました。
現在の状況を踏まえて、弾力的な運用となっています。

【1】申告期限が延長される例
 新型コロナウィルス感染症に感染した場合のほか、感染していない場合でも、相続人等が次のような状況にあり、申告することが困難なケースが例として挙げられています。(幅を持たせている印象です)

 ・体調不良により外出を控えている場合
 ・感染拡大により外出を控えている場合
 ・平日の在宅勤務を要請している自治体に居住している場合
 ・上記理由のほか、その他感染症の影響により、申告納付が困難な場合

(注意点)
 申告が困難かどうかは“一人ずつ”判断します。
 相続人等が複数いる場合、それぞれどういった状況か確認する必要があります。
 したがって、延長する相続人と延長しない相続人がいる、ということもありえます。

【2】期限を延長する場合の手続き
 申告書の余白に「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と記載します。
 税務署への事前申請は必要なく、簡易な手続きです。

【3】延長される期限
 「原因となった理由のやんだ日から2か月以内」とされています。
 税務署の指定ではなく、期限についても、納税者の状況に応じた柔軟な設定となっています。

【4】相続税の納付期限
 納付期限は申告書を提出した日です。納付手続きが遅れないよう、注意する必要があります。

(参考)
 上記1は“相続人等”の状況により延長が認められる例ですが、申告業務を行う“税理士(事務所の職員を含む)”が新型コロナウィルスに感染したり、感染症患者と濃厚接触したことにより、業務が制限される場合にも延長が認められます。