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『自己をならう』

 数年前から神社、仏閣参拝の旅を始めた。知人に高千穂神社の参拝に誘われたことがきっかけだった。高千穂神社は、前代表の奥山所長とともに行った最後の社員旅行の地であり、所長が亡くなって数ヶ月後のこの誘いは、「何か」を感じずにはいられなかった。弊社の社員旅行は、奥山所長たっての希望で神社に行くことが多かったのだが、それまでの私は、あまり厳格な気持ちも持たず参拝していた。高千穂神社、天の岩戸神社を巡っているうちに、まるで社員旅行のやり直しをしている様に感じた。「これは亡くなった所長の何らかのメッセージかもしれない」とまで思ったものだ。その「メッセージ」がこの頃やっとなんとなくわかった。昔から「困った時の神頼み」というが、本当の参拝は神々に感謝と誓いをしに行くことなのだ。生かされている「感謝」、自分の生まれてきた意味、使命は何なのか、社会での自分の役割を考えることではないか。困ったときだけお参りしてお願いをしても、感謝がなければどうやら神様も聞いてはくれないらしい。奥山所長がどう思っていたかは、今となってはさだかではないが、「感謝」と「思いやり」そして自分の役割を大切にしろと教えてくれていたように思える。
 その後も、京都の上賀茂神社や鞍馬寺、貴船神社等、社員旅行のやり直しをした。昨年は、一泊二日で大和七福八宝めぐりに出かけた。七つの神社、寺を巡り最後は三輪山の大神神社で八宝である。これが「参拝」というゆったりしたイメージとは違い、朝早くから夕方ぎりぎりまで、駆け巡るハードなものだった。それ以来、私は神社巡りを「修行の旅」と呼んでいる。しかし、その厳しい中で、荘厳な清々しい気持ちになれるのである。この頃は少しだけ「霊験あらたかな・・・・」が感じられるようにもなってきた。

 私の好きな言葉に「アノネ がんばらなくてもいいからさ、具体的に動くことだね」がある。いわずと知れた相田みつをの詩である。久しぶりに詩集を読み返してみた。短い、簡単な言葉がなぜ心に響くのか。相田みつをの詩は、仏教を通して悟りの詩なのだ。詩集の解説にもそこここにそのことが書かれている。「生きていてよかった」の中の、ある詩の解説に
「『仏道をならうというよりは
  自己をならうなり』
 鎌倉時代の名僧・道元禅師の有名な言葉です。仏さまの道をならうということは、大言荘語して、天下国家を論ずることではなく、このちっぽけな、一人の自分を修行し、調えることだといっているんです。」

と書かれている。ここにも「自己をならうなり」と書かれているように、自分自身が鍛錬しなければならないと思う。いくつになっても日々成長していきたいものだ。
 大和路には大和十三佛を巡る旅もあり、暖かくなったら是非出かけてみようと思っている。

自己をならう平成21年12月
小林美子

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