ここ何ヶ月も使った覚えのないクレジットカードの請求書が届いた。年会費の請求かと思い開封すると25,520円と金額欄にあった。何かいけないことをしたのかなと、あれこれと想像したが覚えがない。明細を確認すると「 NHK 受信料」と書いてあった。一年分の受信料をこのクレジット会社から引き落とす手続きをしたようだ。思わぬ引き落としに、なんだか NHK を見なければ損な気持ちになった。
さっそく NHK の HP にアクセスし、面白そうな番組がないか調べてみた。目にとまったのは、「ゴッドファーザー」3部作の3夜連続放映だった。
ゴッドファーザーは大好きな映画の一つだ。Part3は2度しか見ていないが、Part1とPart2は何度見直したかわからない。明と暗。太陽がさんさんと降り注ぐシチリア島の美しい自然、ニューヨークのアンダーグラウンドの世界。守らなければならない2つのファミリー、家族と組織。様々な明と暗が美しくそして悲しく描かれている。最も好きなシーンはPart1冒頭のマーロン・ブランド演じるドン・ヴィト・コルレオーネの娘の結婚式のパーティー場面と、Part2でアル・パチーノ演じるドン・マイケル・コルレオーネの息子を祝うパーティー場面だ。両場面とも他の映画では見られないほど華やか(明)ではあるのだが、組織や家族のことを考える二人のドンの深い悲しみ(暗)が見事に描かれている。
Part2で若き日のヴィト・コルレオーネを演じ、アカデミー賞助演男優賞を獲得したロバート・デ・ニーロには圧倒させられる雰囲気があった。最近読んだ雑誌で、当時、無名であったデ・ニーロはこの作品に出演することが決まった後、シチリアの村で一か月以上生活し、シチリア語を体で覚え込むことで自らが演じる役に命を吹き込み、マーロン・ブランドのしゃがれ声をまねたことを知った。
また、アカデミー賞主演男優賞を受賞した「タクシードライバー」出演前には一ヶ月間、一日12時間タクシー運転手として働いたこと。その後も「レイジング・ブル」出演時にはボクサーの晩年を演じるため28キロも体重を増やしたり、「ケープ・フィアー」では筋骨隆々の偏執狂を演じるため、体脂肪率を3%まで落とし、わざわざ5,000ドルも払って歯並びを悪くしたと書いてあった。過剰なまでの役作りはデニーロ・アプローチと呼ばれた。デ・ニーロはまさしく仕事に命をかけていた。
私は仕事をすることが好きだ。頑張ってビジネスを成功させようと思う。だが、どんなに多くの名声や報酬を得たとしても、命を削ってまで仕事をすることが良いことだとは思えない。長い人生を有意義に生きるには、仕事を忘れてのんびりとすごす時間が必要だと思う。休みの日には、旅行にでかけたり、サッカー観戦をしたり、好きな映画を見て過ごしたい。二つのファミリーの間で葛藤したドン・コルレオーネを反面教師にしながら。
平成21年4月 前田 洋一
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