|
ホーム > 奥山ユの随筆 > 自己保存本能
『自己保存本能』
平成16年の秋、NHKで「地球大進化」という番組が6回にわたり放映された。
46億年といわれる地球の歴史の中で、生命はどのように誕生し、どのように進化をとげたのかが最新の研究成果をふまえ推論された。生命の誕生は海の誕生と共に古く40億年以上昔のこととされている。
意外なことであるが、生命を育んだ地球は決してやさしい存在ではなかった。
40億年前、巨大隕石の衝突によって“全海洋蒸発”という現象が起こり、地球上の海水がすべて蒸発し地球は灼熱の星となった。又、22億年前と6億年前には極寒がおそい“全球凍結”といわれる氷の星になりそれは数百万年の間続いた。2億5千万年前には、“プルーム大噴火”といわれる火山活動があり、又くりかえし起こる隕石の衝突、そして寒冷期の来襲と地球は荒ぶる存在であり続けた。
その苛酷な条件の中を生命は生きのび続けた。さらに厳しい条件をのりこえる度にめざましい進化をくりかえした。1mmの100分の1のアメーバであった原始生命は40億年超という時間をかけて、人類にまで進化をとげたのである。
生きとし生けるものの中には全て、生きようという強い意思が、そのDNAにすりこまれている。本能の中で最も強烈なもの、それは自己保存本能である。生きるための食欲であり、自己を含めた種の保存のための闘争本能と生殖本能である。
複雑きわまりない、人と人とが織りなす人間模様のその骨組みを写し出せるものが仮にあって、写し出すことができるなら、そこにあるものは自己保存本能の様々な姿である。善悪、正邪を超えた、生きようとしてみなぎる強大な力である。そのことをふまえれば、人間関係のむつかしさのほとんどのものは理解可能である。
人間は知恵としてその衝突を少しでも避けるために、仮に善、正義を決めたに過ぎない。残念ながら現実には善良さが社会を貫徹する訳もなく、正義が社会を支配することも期待はできない。
私達は心おだやかに安からに生きたいと願う。そのような毎日を過ごすための努力と工夫をおしむべきではない。しかし、癒されて心に喜びが満ちている日々さえ、それは強くしなやかに生き続けるための素地であることを決して忘れてはならない。
奥山ユ |

|
|